はつ恋
佳祐はずっと弓道を続けていた。



私が弓道部に入ったのもテニスをやっていたのも、すべてが佳祐の影響だった。



佳祐がやる事を真似してやりたかった。佳祐に少しでも近付きたかったから。



佳祐がみんなに指導をしている。そして私の所へ来た。



佳祐が私の腕を持ち弓の引き方を教える。



佳祐が私の耳元で囁く、「亜子もっと的を見て、集中して。今だ打て!」



見事ど真ん中に矢が刺さる。初めてだ。私は嬉しくて弓をその場に捨て、佳祐に抱きついた。回りにみんながいた事をすっかり忘れて。



しばらくして、みんなが見ている事に気づいた私は、「嫌だ嬉しくて興奮しちゃった。足立先生ごめんなさい。」



佳祐も慌てて、「俺もびっくりど真ん中に行くとは思わなかったよ。」



真理が笑いながら、「ど真ん中にもびっくりだけど、亜子の喜びぶりの方が驚いよ。亜子いつも冷静だから。」



みんなもかなり、私のはしゃぎぶりに驚いたようだ。


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