無口な彼、口下手なあたし
彼。
『あんたらさ、ほんとに付き合ってんの?』
今日も言われた…
あたしの彼、高瀬 駿一は無口な男。
考えてることを口にださないから、あたしは彼についてなんにもしらない。
付き合って3ヶ月…
一緒に帰ったの、3回。
しかも一回は向こうの部活のお友達も一緒。
「八木さ〜ん、高瀬がよんでるー」
うっわ、やな予感
「どーしたの?」
一応笑顔を作って言う。ちょっと顔を赤らめた高瀬はあたしから目を離して言った。
「今日…部活で、公開ライブやるから…み、見に来て…?」
そんな態度にあたしもなんだか緊張してしまう…
かわいいなって思って、でもかっこよくて、久しぶりの至近距離高瀬にみとれてしまった。
「や…八木?」
見つめられて戸惑ってる高瀬も好き…
…パシーン!!
うしろから勢いよく誰かにひっぱたかれた。
「いっ…」
振り返ると親友石黒夏樹があたしを見下ろしていた。
「あんたさー、高瀬君困らしたいの?」
「んなわけな…てかそんなの夏樹に関係ないでしょー」
まけじと睨み返したが…
はい、無駄でした。
168㎝から見下ろされるのは154㎝からしたら恐怖。
「ごめん高瀬…って、あれ?」