はるひなっ!
俺がその場からずらかった後、程なくしてパトカーと救急車のサイレンの音が聞こえて来る。

おそらく誰かが通報したのだろう。素晴らしい迅速な対応。全く日本の公務員は優秀だ、とそんな事をふと考えた。


「はぁ……俺だってバレたらまた警察と教師のご厄介になるよな……髪の毛とか落としてねぇだろうな」


テレビの刑事ドラマのワンシーンを頭に浮かべながらため息をつく。


おっと、自己紹介が遅れたが、俺の名前は藍沢陽輝(あいざわ はるき)この春から高校二年生になったばかりのごく一般的な男子だ。

強いて人と違う所を上げるとすれば、この金色の髪と、人一倍ケンカには自信がある、って事くらいだろう。

髪の色は、染めている訳ではなく生まれつきの金髪だ。何かアルビノとか言うらしい。

ケンカは自ら望んだやってる訳じゃない。

中学時代に、金髪で調子に乗ってるとか言ってケンカをふっかけて来た先輩の不良集団を返り討ちにした事があった。

それから、次から次にケンカをふっかけられ、今では日常茶飯事になってしまった。もちろん全員葬ってやったよ。

という訳で、今では「最凶最悪の不良」とか言う忌々しい二つ名をつけられてしまった。
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