溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
もともと出世や名声には全く興味もなく、ただお客様が望む生活や夢や将来の希望を現実にする為に設計という方法で関わってきた。

図面の中で描く平面的な想いが、実際に家となって建って。
幸せな暮らしを送るお客様の様子が私の喜びの糧だったし…。

コンクールなんて全く遠い世界のもので、どちらかと言えば否定的に捉えていた…。

設計士が想いを込めて作り上げる世界に順位をつけるなんて受け入れる事ができないし、順位をつける側の勝手な驕りだと。

学生時代から、コンクールで大賞を取った作品に触れる機会はたくさんあって、感動したり、自分の才能のなさに落ち込んだり…大きな影響を受けた事は確か。

それでも、自分自身の大切な作品をコンクールという大義名分のもとでふるいにかけられるのが嫌で、全く遠い世界のものだった。

それが…今では大賞を受賞して世間に名前が出回るようになって。

小さな頃から思い描いていた…望んでいた未来とは違う現実を受け入れる為に…。

こうありたいと…心から願っていた未来とは違う今を楽しめるように。

ただその為に生きている。

仕事に対する諦めと踏ん切りはなんとか…ついていると思う。

そして、もう一つ。

濠。

濠への想いと、望んでいた未来。

濠の事を考えれば私から離れるのがいいかなと思ってたけど。

濠との未来はやっぱり変えられない。
手放せない。

長い間寄り添っていた時間への執着じゃない。
濠が愛してくれていた思い出への回顧だけじゃない。

一番大切な人だから。

どうしても変えたくない未来…。

離れているこの何日間で。

離れてるはずなのに濠の鎖に繋がれてるみたいな感情に支配されてる事に改めて気付かされて…。

仕事で手放したように…。

濠と望む未来だけは手放したくないって…今、濠と離れてる私は思ってる…。
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