*銀狼-ギンロウ-*
「ねぇ、今日はどこ行く?」

「…ラブホ」

「バカっ!」

紗耶香は俺の頭を小突く。

「冗談だよ」
いや、少しは本気だった(笑)。


「ねぇ、…あの子大丈夫かな」
「…あの子?」
「リナちゃん。カイがいなくなっても、チーム入ったままなのかな」
「…ああ」

俺は関わったことは無いが、“カイ”の記憶としてリナのことは思い出していた。


「後でアイツとはゆっくり話すつもりだ」

「そっか」
紗耶香は安心したようだった。

「女の子ひとりはやっぱり心配だし。何かあってからじゃ遅いから」

…そうだ。
俺は紗耶香を傷つけた。
あの日、助けてやれなかった。
「…ごめんな」

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