童話少年-NOT YET KNOWN-

警戒と覚悟




「そんじゃま、……洗いざらい吐いてもらおうじゃねーの佐津賀くんよォ」
「…………何なのそのノリ」
「なんとなくだよ、なんとなくなノリから無限の可能性が生まれんだよ! 折角だからカツ丼でも出すか!?」
「いらない。僕、玉子アレルギーなんだ」
「なに!? やべーよお前玉子料理食えないとか人生の80%損してる……!!」

どうやら紗散は怒りっぽくて喧嘩っ早いわりに笑顔が多く扱いやすいという単純さを持つうえ、どうも話を脱線させるのが好きなようだ。
今だってただでさえ猫のように大きな目をさらに大きく見開き、両手を頬に当ててぶつぶつと玉子料理を羅列している。

「オムライスとプリンとか親子丼とかカステラとかプリンとか神の領域なのに……」
「おい、今のでプリン4回目」

これ以上この話題に乗れば軌道修正は不可能だと考えた雉世は、まともに話をする気のない人間は無視することにした。

「君達、ネットでどこまで調べられたの」
「ほとんどなんにも分かってねーよ。鬼道が表向きは日本民話に詳しい学者、ってことくらい」
「そっか。僕も6年前の記憶だからな……」

多分あちこち曖昧だったり間違って憶えていることもあるかもね、と、雉世が呟く。
それは仕方のないことだろう。

「つかよー、遺伝子実験で出来たイキモノとか言ってたけどさ、そもそも鬼ってなんなわけ?」
「えぇと……昔話、桃太郎とか。に、よく鬼が出てくるでしょ? それを実際に作り出そうとして、もう20年近く研究してたみたいなんだ」
「え。鬼って、昔の人が外国人見て言ったんだと思ってた」


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