ももいろ


「ただいまー」

俺はご機嫌で玄関を開けた。

ん?なんかいい匂いがする。


リビングに行くと、スウェット姿のサツキさんがソファに横たわっていた。

寝てるみたい。

テーブルの上に、肉じゃがとワインが置いてある。

サツキさん、先に飲んでたんだね。


ん?肉じゃが?


俺、作ってない。

お惣菜でも買ってきたのかな?

少し、いただいてみた。

じゃがいも、ガリッて言った。

じゃがいも以外はちゃんとやわらかくできてるな。

味はいいんだけどなぁ。

…。

これ、まさかサツキさんが作ったんじゃ…。

キッチンへ行って確認すると、


お鍋に肉じゃが


えー!どうしちゃったわけサツキさん!?



じゃがいもはすぐやわらかくできるけど…起きたら教えてあげればいいや。

せっかくだから、ガリッとするままいただこうかな。

俺はなんとなく嬉しくて、サツキさんを眺めながら少しワインを飲もうと思ったら…



キッチンに置いてある瓶、全部カラ。



へっ?

リビングに置いてあったのが最後?

うそ!

あの人、一人で四本空けたってこと!?

俺はあわててリビングに戻り、中身を確認すると…

これもカラ。

五本て!

いくらなんでも飲みすぎじゃない!?

サツキさん、生きてる!?

俺はあわててサツキさんを揺さぶった。

「サツキさん!大丈夫!?」

「ん〜…あ、司くん」

サツキさんは目をこすりながら起き上がった。

生きてた…

てゆーか酒クサッ!

安心したあと、俺はだんだん怒りがこみあげてきた。

「…待ってないじゃん」

「ん…何」

「俺が出掛ける時、待ってるなんて言ったくせに、一人で全部飲んじゃって。待ってないじゃん」

サツキさんは座った目で俺を睨んで言った。

「流してよ」

「は?アナタ聞いてるの?人の話」

「うるさい。流してよ」

??

「流すって…何を」

サツキさんは俺に絡み付いてきた。

「ちょっ…そんなにくっついたら…」


「背中!流してよ!」


はぁーーーっ!?

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