ぼくらのきずな

さよならなんて言わないよ

さよならなんて言葉、きみとぼくとの間では通じないものね。

あいにくぼくは、いつの間にか僕になってしまっていた。

そしてきみはいつの間にか子犬から出産さえも経験し、親となり・・・老犬になっていた。

身体が小さく顔つきだってそんなに変わりはないのだけれど・・・いつの間にかいつの間にか・・・

僕を遺して君は逝ってしまったんだね。

けれども・・・

さよならなんて言葉いわないよ。



きっときっと、きみはまだ何処かに居るんだもの。



きみの声が、きみの匂いが・・・きみの鼓動が・・・手に取る様に感じ取れる。


・・・ような気がする。



否、否めずともきみは・・・

きみの

声が

きみの

足音が

きみの

香が

ぼくを呼ぶ。

ぼくを引き付ける。

ぼくを離さない。



逃げられない!!

きみの居ない現実から。

逃げられない!!

きみの居た世界から。



ぼくの居場所は此処でしかない。



ぼくの目も耳も鼻も口も・・・
朽ちとせず、此処に居る。
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