蜜林檎 *Ⅱ*

突然の求婚

杏の部屋の窓を開け

外を眺めている樹。
 
「イツキ、ごめんね」

「親父さんの話は終わった?」

「うん・・・
 イツキと一緒に暮らすって
 伝えたけど、いいよね?」

「いいよ」

杏は、机の上に鞄を置こうと
してレコードに気がつく。
 
手に持ち表裏、交互に見つめる

「えっ、何これ・・・
 どうして
 ここに・・・あるの?」

杏の驚く姿に、樹は机を見る
ようにと指で合図を送った。

机に置かれたメッセージカード
 
読み終えた杏は、これが全て
百合からの誕生日プレゼント
だという事を知る。

「嘘でしょう・・・
 このレコードなんて
 もう手に入らないよ
 
 それに、この写真集も
 私ずっと見たかったんだ
 うれしい
 すごく嬉しいよ・・・」
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