蜜林檎 *Ⅱ*
父親に乗せてもらって
母と妹に会いに来たと言う。  

「父さんが病院の前に
 車を停めて待ってるから
 赤ちゃんの顔も見たし
 もう行かなくちゃ
 
 ナナちゃんだよね
 こんにちは」
 
樹に抱かれた菜那は、烈に言う

「こんにちは、おにぃちゃん
 いいでしょう、ナナね
 イッキに、だっこして
 もらってるんだよ」

緊迫した空気が流れる。 

樹の胸は、騒ぐ。
 
烈は、じっと樹の横顔を
みつめた後、確信して
樹に問う。
 
「やっぱり、モーメントの
 イツキさんですよね?
 今、そうじゃないかな~
 って思ったんです
   
 あの、俺・・・
 大ファンなんです
 
 どうして、ここに
 いらっしゃるんですか?
 握手してもらっても
 構いませんか?
   
 こんなに間近で
 イツキさんに会えるなんて
 すげぇ、かっこいい」
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