蜜林檎 *Ⅱ*

ピアスの輝き

二人は、レストランで
昼食をとった後に帰宅した。
 
婚姻用紙を鞄から取り出し
杏は樹に渡した。

「イツキ
 ツアーが終わるまで
 大切にしまっておいてね」

樹は頷き、書斎の机に
婚姻用紙をしまう。
 
「何か飲み物、入れるね」

杏はキッチンに立ち、ジーンズ
の右ポケットからピアスを
取り出し、掌にのせて見つめた

見知らぬ高価なダイアのピアス
に、杏の心は不安になる。
 
『どうして、こんなものが
 イツキの車に・・・』

壊れないようにピアスを
そっと握り締めた。

樹に女性の影が・・・

杏は首を振る。

そんなことは、絶対に無い。
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