蜜林檎 *Ⅱ*
「イツキ、もういいよ
 私は、貴方の言葉を信じるわ
 ・・・・・・
 もうひとつだけ

 聞いてもいい?」

樹は、頷いた。

「マリアさんが言ってた
 以前、イツキにプロポーズ
 された事があると・・・
    
 ユリちゃんに渡すはずだった
 指輪を彼女に渡した
 それは、本当の事なの?」 

樹は、一呼吸ついて話し出す。

「・・・やっぱり、あの指輪
 マリアが持っていたのか
 遠い昔に無くしたものと
 思っていた
    
 マリアが、どうしても見せて
 ほしいと言うから、一度だけ
 百合の指輪を見せた事が
 あるんだ
    
 どうしてもその指輪がほしい
 と彼女は我侭を言ったけど
 俺は、無理だとそう言った
 そしたら、マリアは・・・
 悲しい顔をした」

「じゃあ、プロポーズをされた
 と言うのは・・・嘘」
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