蜜林檎 *Ⅱ*

青褪めていく

二人は、どこかに
出掛ける事も無く
同じ時をゆっくりと過ごす。

「明日は、金沢だったよね
 その翌日は新潟・・・
 イツキは、いろんなところ
 に行けて楽しいね」

「観光なんてしてる時間は
 無いけどね
 そうだ、札幌のライブの後
 休暇があるから、一緒に
 過ごそうか?

 どこか移動してもいいし
 いつかの旅行の約束
 守れてなかったし」

「本当にいいの、イツキ?
 私、うれしい」

杏の喜ぶ顔を見つめて
樹の口元も緩む。

その夜、ベッドで

じゃれ合う二人。
 
「イツキ、駄目だよ
 くすぐったいよ
 
 離して、お願い」

「降参する?」

「降参する
 
 イツキは、全然
 こそばくないの?」
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