蜜林檎 *Ⅱ*
ながい夜

最大のミス

杏が蒼一の家に身を置いて
ひと月程経ったある日
 
仕事帰りに夕食の買い物を終え
両手に袋を持ち歩く杏を
呼び止める声が聞こえた。
 
それは、久しぶりに会う姉
百合の姿だった。

「アン、元気にしてた・・・
 
 ちょっと
 痩せたんじゃない?」

「ユリちゃん
 どうしてここに?」

お腹の大きな百合に駆け寄る杏
 
「ソウちゃんから、連絡を
 もらったの
 たまには、アンに会って
 あげてくださいって」

百合は、杏の片方の腕から荷物
を取り持とうとした。

「ユリちゃん、いいよ
 お腹に障るから・・・」

二人は近くの公園のベンチに
座り、話をする。
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