蜜林檎 *Ⅱ*
音楽以外の事を考えながら
できるような仕事では無い。
 
樹は今、仕事以外の事は
何も考えずに音楽と
一生懸命に向き合っていた。

新曲宣伝用の撮影を行う為に
某所スタジオに集まる
『moment』のメンバー。
 
ヘアーメイクを終え
撮影の衣装を身に纏う。

個人撮影の合間には久しぶり
に会った仲間達と楽屋で会話
を交わす。
 
そこは、メンバー以外
誰もいない空間。

「イッキ、本当に
 アンズちゃんと別れたの?」

博臣に差し出された珈琲を
受け取る樹は頷く。

「それでいいの、イッキ?」

「オミ、もう、その話はよそう
 イッキが考えて出した結論
 なんだ」 
  
千里の言葉に、博臣は
何も言えなくなる。
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