修羅と荊の道を行け
彼は氷樹先生が好きだという。でも端から見たら、氷樹先生は寂しい顔、泣きそうな顔しか思い出せない。

氷樹先生には家族はいない。両親は蒸発して、おばあちゃんに育てられて、おばあちゃんも高校生の時に亡くなったそうだ。それからバイトをしながら漫画を書いて、デビューした。

辛いとか寂しいとか絶対、言わない人だから、側にいたいと思う。

「誕生日は特別なのに。私たちよりも君に祝って欲しかったと思う。約束を破られるって、君が思っているよりきついんだよ」

「分かってる!」

「分かってたら!簡単に約束なんてしないし、破ったり出来ない!彼女が何も責めたりしないからって甘えてると、うちのプロデューサーや昨日来てたイケメン声優に奪われちゃうよ」


彼女を狙っている男は多い。彼氏がいるから何も言い出しはしないが、こんな甲斐性無しだって知ったなら、競ってモーションをかけてくるだろう。
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