修羅と荊の道を行け
「悪い冗談。恋愛に奥手のお前が咄嗟に恋愛駆け引きが出来るわけないな。お前の恋愛知識は全部本と氷樹さんから得てるっぽいもんな」

悪かったね。頭でっかちで、って怒ったら。

「拗ねるなよ。その拗ねた口にキスしたくなる」

と言われて慌てて尖らせた口を元に戻した。

「でも見物だったかもな。人気漫画家と人気ゲームクリエイターの共演だろ。ドラマみたいなことになったんだろうな」

「うん。氷樹ちゃんは女優みたいだったよ。儚げに笑った顔がその辺の下手な女優よりも綺麗なの」

「そうか。咲耶のおかげであの二人も安泰だな」

「どうだろうね」

安泰とはいかない気がする。行って欲しいとは思うけど、あの男は何かとんでもないことを仕出かす予感がする。

(数年後、本当に仕出かすのだが、それはまた別の話しだ)
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