修羅と荊の道を行け
金橋さんが帰ってきたのは、6時を回った頃だった。

無事に元気な男の子が生まれたそうだ。

眠った心奈ちゃんを抱き上げて喜んでいた。

「おめでとうございます」

咲耶は涙を流して笑っていた。

「お二人のおかげです。心奈を一晩ありがとうございます」

「心奈ちゃんはずっといい子でしたよ」

「今日のお礼は後日させていただきますので」

「いえ、一宿一飯の恩だと思ってください。なぁ咲耶」

「そうですよ」

子供が無事に生まれて来てくれたことが嬉しかった。

それ以上のお礼なんてないだろう。

初対面に近いはずのオレたちは4人、手を取り合って生まれて来た命を祝った。

咲耶が軽い朝食を作って、それを食べてから家を出た。

「「お世話になりました」」

お互いに頭を下げてしまって、笑った。

「そうだ。浪川さん少し良いですか?」
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