修羅と荊の道を行け
膝の上に咲耶の身体を乗せて、落ち着けと促す。

「お手数かけます」

「本当に咲耶は可愛いな」

耳元で囁くと、肩がビクンと揺れた。

「可愛くないですよ」

「可愛いよ」

裸の腰に腕を回して、ぐっと引き寄せる。

密着するスベスベの肌が気持ち良い。

お湯に濡れた髪の間から覗く、うなじが綺麗で、味見をしたくなる。

だが、我慢だ。ここでなんやかんやしたら、またパニックを起こすだろう。

「咲耶。見ろ、月が綺麗だ」

窓の外を指差すと、咲耶も窓の外を見て、感嘆の声を漏らす。

「本当。綺麗だねぇ。ここにお酒あったら月見酒できたのにね」

「はは。花より団子だな。でも、確かにやってみたいよな。お盆を浮かべて徳利を置いて」

「形から入るね」

「スタイルってのは大事だ。家も形がよければ使い勝手も良い。あのスタイルも月見酒スタイルとして相応しいから広まったんだ」
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