修羅と荊の道を行け
顔が近づいて、息が唇にかかったなぁ。じゃあこっちの息も浪川くん(弟)にかかってるんだよな、って考えてるうちに唇同士がくっついた。

目を閉じるから聴覚がやけに敏感になる。お互いの呼吸の音とか、自分の鼓動とか、廊下を歩く音とか!

「千尋!彼女連れて来てるって!」
「こんにちは」

ドンとドアを開けられる前に、キスを終わらせて、私のケータイで撮った画像をを眺めている体勢をとっていたので、キスシーンを見られることはなかった。

「十弥(とおや)兄、ノックぐらいしろよ。客来てんだから」

「お前の彼女ってことは家族みたいなもんだろ。万里が言ってた通り、五百蔵咲耶だ。千尋、お前やったな」

「兄貴も咲耶のこと知ってんのか?」

「当たり前だろ。オレの趣味はゲームだからな。ゲームクリエーターの名前は色々頭に入ってる。綺麗過ぎるゲームクリエーター五百蔵咲耶、まさか会えるとは思わなかった」
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