修羅と荊の道を行け
氷樹先生のソファで丸くなっていると、愛犬の沙羅(さら)ちゃんが心配して顔をペロペロ舐めてくれました。

トイプー可愛いなぁ。

顎の所をこしょこしょしたら、嬉しそうな顔をした。

この顔が浪川くんが笑った顔に似てた。

重傷だ。

そんなこと考えていると、


ピンポンが鳴った。

「はーい。誰よ、この締め切りの忙しい時に…」

すいません。

話を聞いていただいた分は自分の身体でお返しします。

原稿を手伝うために、身体を起こした。

「沙羅ちゃんごめんね〜」

沙羅ちゃんの顎をもう一度こしょこしょした。

腕につけていたゴムで前髪だけを縛って、女豹のポーズをして肩と背中の筋肉を伸ばしていると、氷樹先生が戻ってきた。
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