淡い記憶
あっさりと答えてドアを開けて部屋に入っていく陽一郎を、
母は見送った。
陽一郎は、青木が死んだことが理解出来ずひとり壁を見るではなし、
天上を見るでもなし、窓の外も見えているのに、
なにも見えなかった。
ただ頭の中が混乱しているだけで、現実感がない。
一階では、家族が集まり話しているようで、会話が聞こえた。
朝、陽一郎が起きていくと、母は、びっくりした様子で、
「学校へ行くの?」と尋ねた。
「行くよ。クラブはないから、早く帰ってくるよ」
陽一郎の何気ない様子に意外だと思いながら、
安心したようにパンやミルクを差し出す。
あまりに冷静なのを今度は、理解していないのかと心配になりかけた時、
陽一郎が食べ終わって、
ガバンを肩からかけて身仕度を素早くすませて玄関に進む後を追う。
ドアを開けて、出ようとした陽一郎が、
「今日は、お通夜だって……」
間があって「行ってきます」と出て行った。
学校に着いても、皆、陽一郎の顔を見ては不思議な顔をした。
母は見送った。
陽一郎は、青木が死んだことが理解出来ずひとり壁を見るではなし、
天上を見るでもなし、窓の外も見えているのに、
なにも見えなかった。
ただ頭の中が混乱しているだけで、現実感がない。
一階では、家族が集まり話しているようで、会話が聞こえた。
朝、陽一郎が起きていくと、母は、びっくりした様子で、
「学校へ行くの?」と尋ねた。
「行くよ。クラブはないから、早く帰ってくるよ」
陽一郎の何気ない様子に意外だと思いながら、
安心したようにパンやミルクを差し出す。
あまりに冷静なのを今度は、理解していないのかと心配になりかけた時、
陽一郎が食べ終わって、
ガバンを肩からかけて身仕度を素早くすませて玄関に進む後を追う。
ドアを開けて、出ようとした陽一郎が、
「今日は、お通夜だって……」
間があって「行ってきます」と出て行った。
学校に着いても、皆、陽一郎の顔を見ては不思議な顔をした。