どこかで誰かが…
プロローグ
本日、堀口佳菜子は、
イメージチェンジのため、青山の街を訪れている。

相談をもちかけた従妹に連れられて……

それでなければ、本来は、近所の美容院でコトは足りていたはずだった。

と、言うのも…………

「ダメダメ!友ちゃんのとこじゃ普通にしかならないよ!」

「普通?」

「せっかくだから、流行りのスタイルにしてもらった方が良いでしょ!?」

「流行りって…あたしの髪質でも大丈夫なのかなぁ?」

「だから、あたしが連れていってあげるって!変身できる魔法の館に!」

「はぁ…」


高校2年になったばかりの佳菜子には、小さな悩みがあった。

それは、真っ黒な髪の毛が剛毛な上にくせっ毛なことで…

湿気の多い日はどうにもまとまらず、編み込みのおさげ髪というのが定番のヘアスタイルだった。


校則が厳しかった中学時代は、
それほど浮くことはなかったのだが、
公立の高校に進んだ今、周りからは地味と決めつけられがちに。


そんな佳菜子はスポーツが得意で中学時代から続けてバスケット部に所属している。


そのギャップに驚く者もいるが、

「だから色気がねーんだ!」

と、納得されてしまうことの方が多い。


それなら、その方が都合は良い。

しかし、

ある日の放課後の教室で、
そうも思ってはいられなくなった。

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