どこかで誰かが…
片桐の知らないエピソード
片桐がカナダに発ち、半年が過ぎた。


本場のハロウィンを経験し、
感謝祭に招かれ、
クリスマスパーティーに参加すると、
大晦日には間に合うよう、慌てて帰省したのは、
もうすでに三度目の帰国だった。


前の二回と違って、今回はサプライズではなかったので、
清瀬がクルマを出し、佳菜子と空港で出迎えてみせた。


「本当はニューイヤーパーティーとかもあったんじゃないの?」

「いーよ別に。」

「そぅ?テレビで見ると、すごく楽しそうだけど」

「じゃあ、来年は遊びに来る?」

「いーねー!」

「それってアレだろ!新しい年になった瞬間、隣の人とキスできるやつだろ!」

「あ〜。」

「じゃあ俺も行く!」

「あんたは彼女がいるでしょ!」

「挨拶じゃん!ハッピーニューイヤー!って」

「最低…」

「なにがだよ。そーゆーノリが許される瞬間じゃん!なんつーの…ラテン的な?」

「ちょっと違うだろソレ。」

「そ?」

「もう、あんたは黙って運転してて!」


帰国中はいつも、家族や佳菜子との時間を優先する片桐だが、
そのうちの1日、
両親が旅行で留守の清瀬家にて、佳菜子と片桐の三人で鍋を囲むことになり…

「ココからなら、いつでも帰れるだろ。」

「あ、お母さんが泊まっても良いって。」

「なんだよソレ〜。」

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