どこかで誰かが…
「旅行と住むのとじゃ違うよ。」

「そーだけど…俺がいるだろって!」

「頼ってばかりいられないじゃん…働けるワケでもないけど…」

「まさか、そんなこと悩んでたのか?馬鹿だなぁ。頼れよ!何のために俺がいるんだよ!」

「そーだけど、私だって大地くんの役に立ちたいもん。」

「そばに居てくれるだけで充分だよ。俺、自分のことは自分でやるし、別に家事なんてどっちがやったって良いじゃん。佳菜は自分がやりたいようにやれば良いんだよ。ただ、俺との二人の時間さえ大切にしてくれればさ。」


そう言って佳菜子の頭を撫でた手が、優しく片桐の方へと引き寄せ、そっと唇を重ねるのだった。


「こうやって、いつでもそばに、佳菜を感じていたいんだ。」

「うん…」


もう一度、二人の唇が重なった時


ピロピロピロ、ピロピロピロ……


片桐の携帯電話がメールの着信を知らせた。


「んだよぉ!イイトコロだったのにな〜。」


とは言いながらも、メールを読み返信を繰り返す片桐。


「仕事?」

「ああ、ごめん。ちょっと待ってて。」


ムードは、すっかりぶち壊され…

「ねぇ、いいよ。私なら大丈夫だから、用事、片付けてきちゃって。」

「…いや、いいんだ。大丈夫!」

「でも、」

「そうだ、飯食った?」

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