どこかで誰かが…
エピローグ
ある日のこと、
駅前にある居酒屋で、二人の男がつまみも程々にビールを飲んでいた。


「で、次どうすんの?」

「探してる。」

「不況の煽りでバイトが削られると…」

「ちょうど良かったんだよ。」

「何が?」

「俺、失恋してさ。」

「え、例の客?告ったのか?!」

「いや。」

「は?どぉゆこと?」

「…見ちゃったんだよ…偶然。」

「男と買い物しに来たって、あれだろ?」

「違う。…抱きあってるとこ。」

「ぶ〜っ!!」

「わっ!んだよキタね〜な〜!」

「だっておまえ…」

「ま、彼氏がいることくらい考えなかったワケじゃないけどさ…」

「抱きあうって…酔ってたのか?それかバカップル?…あぁ!まだつきあって日が浅いんじゃねーかソレ?」

「…」

「おまえが一目惚れした後に出会った男だったらどうする?悔しくね?」

「…俺なんか、たかがスーパーのバイトだろ…とてもじゃないけど…」

「バイトの何が悪いんだよ!この不況が悪いんじゃんか!」

「つーか…あんな近くにでっけースーパー建てるか普通?…俺、絶対あの系列のスーパーで買い物しねーんだ。」

「…おまえ、小さい男だなぁ…」

「やっぱり?」

「…なぁ、最後に声かけてみれば?」

「!」

「デカイ花火咲かせてみろよ!…最後にさ!」

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