素直の方が好きですか?


母さんが黙る。
重い空気が、俺と両親の間を通り抜けた。

「私の仕事が片付き次第、引っ越すわよ」

「は、はぁ?」

「これは決定事項よ」

「どこにだよ……」

「想の大学もあるから、そう遠くないところ、そうね……A高校の方ね」

A高校って、かなり遠いじゃねぇかよ……。

「俺は残る」

「何バカいってるの」

『お前は大バカ者だ』

そうです先輩、俺はバカです。
だから……俺はここで智葉を待ってたいんだ。

この街を、離れるわけにはいかない。
俺は智葉の帰る場所になってやんないといけないんだ。

「彼女と約束したんだ。卒業するころ、また会いに来るって」

「そんなの二年も先の話じゃないの!彼女もきっと忘れてしまうわ!」

「智葉はそんな奴じゃない!!」

俺は、叫んだ。

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