人はそれを恋と呼ぶ
「…あー、ひょっとして今の全部見てた?」
彼女は相変わらず目をそらしたまま、黙って頷いた。
「悪いな、俺変な事言ってただろ?気にしないでくれな」
俺がちょっと笑ってそう言うと、彼女はちらっとこっちを見て、首を横に振った。
「いや、別に変じゃなかったよ。美穂の思い込みだっただけでしょ」
……あれ、美穂を知ってるって事は、1年か?
「木下は誰にでも優しいから誤解されるんだよ」
…俺の事も知ってる?
「ちょ…待って。お前、何組?まさかC組じゃねぇよな?」