人はそれを恋と呼ぶ
植田はきっと、困ってるだろう。
でも俺は、植田を離せなくて、彼女が嫌がらないのをいい事に、そのまま彼女を抱きしめていた。
「なんで、嫌がらないんだ…?」
俺がそう呟くと、植田は少しだけ顔を上げた。
「…木下は、熱あるから、いつもと違うんでしょ?いいよ…。落ち着くまでこうしてても…」
少し子供扱いしたような台詞に、俺はちょっと苦笑いをした。
「体、すごい熱いよ?大丈夫?」
「…いや、死にそう…」
植田は、少し顔を上げてマスクをそっと取ると、俺の顔をじっと見つめた。
「…じゃあ、木下の風邪…あたしがもらってあげる」
そう言って、
彼女は俺に、キスをした。