パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~
きっとこれ以上は見えない、少ない星たちを見つめ、ため息をつく。
そしてゆっくり目を閉じた。
今、やらなければならない事の順番をザーッと考える。
悩んでる暇はない。
この世界、スピードが命だ。
ちょっとの出遅れが命取りになる。
今の奈桜には立ち止まる暇なんてない。


「もしもし?母さん?」


奈桜は母親の優子に電話をかけた。


「何?どうかしたの?」


「あのさ、母さん、海、好きだったよね?」


いきなり、訳の分からない事を聞く。
優子はいぶかしがりながら答える。


「海?好きだけど。それがどうしたの?」


「あのさ、あの…、ちょっとたまには旅行でも行ったら?オレが手配するからさ。海外って新婚旅行以来、行ってないだろ?ハワイなんてどうかな?日本人も多いし心配ないだろ?」


いきなりのハワイ行きの話に、優子はその裏に隠された奈桜の心を読み取った。
何かあるに違いない。
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