パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~
「携帯……、携帯…、あれ?携帯?」


ぼんやり視界が広がりつつある奈桜の目が、ベット周りをきょろきょろ探す。


布団からスルリと現れた上腕の引き締まった筋肉が、細い身体を男らしく見せる。


「パパ!!ちゃんとパジャマ着てって言ったのに!!パンツは忘れないでって言ったのに!!」


「うるさい。パパは裸族なんだよ。…あっ!あった。静かに」


奈桜はベットの下に入り込むように転がっていた携帯を掴んだ。



「もしもし…」


寝起きの低い声で電話に出る。


「おはようございます。石田です。…誰か…いらっしゃるんですか?」


さすが、マネージャーの勘は鋭い。
相変わらずのちょっとキツイ事務的な口調は、出来れば朝から聞きたくない。


「いたら何?…今日はオフだろ?」


奈桜もかなり鬱陶しそうに答える。
迷惑だという思いを言葉の中にいっぱい含ませて。
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