パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~
「今日は暑いな」


奈桜が空を見上げながら呟くと立ち上がった。


「行くぞ!」


「えっ!?」


驚いた顔をしている泉に微笑みかけ、奈桜は靴を抜いで裸足で駆け出した。


「奈桜!」


奈桜は公園の真ん中にある、大きな噴水目がけて走って行く。
ジーパンが濡れるのも気にせず、一気に中に飛び込んだ。


「つめてぇ!けど気持ちイイ!!」


ジャバジャバと水を掻き分け、気持ち良さそうに笑っている。
まるで子供のように。


「水遊びしたいならそう言えよ」


『しょうがないなぁ』と、楽しそうに笑いながら泉も噴水の中に入って行く。


落ちて来る水に虹が架かっている。


「泉、ここ、虹見える!」


しばらく2人は水の中でじゃれ合った。
冷たさも眩しさも時間の経つのも全部忘れて。
アイドルグループのメンバー同士というより、かけがえのない友達として。


その時、2人の携帯が鳴った。


「マネージャーからだ」


「時間か…」


急に目つきが凛々しくなる。
魔法は長くは続かない。


「そうだ。奈桜、チラッと耳にしたんだけど」


泉が少し低い声で言う。
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