偽りのプリンセス
「どうぞ」
太陽みたいな笑顔で、真っ赤な薔薇を差し出す彼。
「いくらですか」
「これはプレゼントです」
「……ありがとう」
花売りから薔薇を受け取った時、手と手が触れ合った。
その瞬間、電撃が走ったように手が熱くなる。
「「……!?」」
薔薇の花を手に、あたふたする花売りと娘。
「ま、また来ますね」
「え、えぇ、また来てください」
遠くで鐘の音が聞こえた。
──この二人が結ばれるのは、もう少し先のお話……。
end