超モテ子の秘密


「姉ちゃんは何も分かってない。

…父さんに買ってもらったやつじゃなきゃダメなんだ!」



将太は声を荒げ、大粒の涙をこぼしながらそう言った。



耳には入ってくるけれど、今の私は言う力さえない。




「…このグローブがボロボロなのは、
俺がよく怪我してるのは、

両親がいないからって」



苦しそうに言葉が途切れる。



でも、将太は絞り出すように続けた。




「…イジメられてるからだよ!!

姉ちゃんと違って、弱い俺は、いつもイジメられてるんだよ!」



……イジメ?



そう言い放って、将太は部屋に行き、戸をぴしゃりとしめた。




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