嘘つき⑤【-sign-】
■大原 琴音side■
◇琴音side◇
────絡んだ視線を何故か離せなかった。
強い意志を含んだ瞳は相変わらず真っ直ぐ、姿勢の良い立ち姿は彼女自身の様で、眩暈がする程眩しい。
ああ、そうね。あの日から、何ひとつ変わらない。
私はいまだにあなたが羨ましくて仕方ない。
愁哉さんが、あなたに惹かれた理由がよく分かる。
無意識に、恭平さんを握り締める指先に力が入った。
恭平さんが、それに気付いたかどうかは分からないけど、それでも握り返してくれた温かさに、やっぱり一人では立っていらろない弱さを改めて知らされる。
いつだって私は臆病で向き合えない。