嘘つき⑤【-sign-】
恭平さんが、またクスと笑った。
「愁哉は琴音ちゃん泣かすからやだ」
艶やかな声。色気のある流し目であたしを愛しそうに見つめる。
「それに、正直じゃない。」
挑発するような恭平さんの態度に、愁哉さんは乱れた呼吸を整えてフゥと小さな息をつく。
「おまえより、幸せにする」
ああ、この人は何を言ってるのかしら、
「俺の方が、彼女が必要だ」
動けない背中に向けられた視線が、馬鹿みたいに痛い。
そんな筈、ないじゃない、