嘘つき⑤【-sign-】

恭平さんのウェーブかかった柔らかそうな髪が揺れる。


絡む視線は静かで、こんな風に穏やかに誰かに見つめられた事なんてないと改めて思う。



「…いい加減忘れて欲しいな」




恭平さんはやっぱり少し悲しい瞳で、あたしの頬を触れる様に撫でた。



「…簡単なら良かったんですわ。こうして、触れる様に」




あたしはゆっくり微笑んで、恭平さんの腕を下ろした。


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