恋咲
第1章 芽

「付き合って下さい!」
頬を真っ赤にして言った男のコ。
…でも。
私の答えはいつも同じ。
「…ごめんなさい」

「…」
彼は驚いた顔で私を見つめてくる。

ホントにそーいう顔をしないでほしい…。

「…やっぱ、いつも断るんだな?」
彼はさっきと変わった表情でため息をついた。

…え?
やっぱって…?
どーいう事?

私がポカンとした顔で彼を見つめていると、彼が口を開いた…。

「…俺はあんたに惚れてる。だから告ろうとした。けど、俺のダチは言った」
「『お前、あのコにぜってぇ振られんぞ?』って…何でか聞いたら、
『あのコは誰でも断る。どんなにカッコいい奴から告られても。だからさすがのお前でも振られるってわけ』
なんてほざきやがった」

…あ、あれ?
こんな人だったっけ?
…彼はとっても優しい人で有名な竹井 翔(タケイ ショウ)くん、なはず。
だけど…
全然違うよー?

私の心境を読み取ったのか竹井くんがフッと鼻で笑って、
「…何?俺はこんな奴じゃなかったって思ってんの?」

私は何も言えなかった。
唖然、呆然…。
ホントに竹井くん?

「ホントの俺はこっち。猫被ってただけ」

…え?
猫…被ってた?
私は竹井くんが言った一言が信じられなくて固まっていた。
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