恋咲
「…私は、中学校でも学級委員をしてた。学級委員としてクラスを仕切ったり、問題が起きたりしたら、いつも私が解決した。だから皆は、私を頼ったりしてくれて…。みんなへの信頼は大きいと思ってた。だけど…違ってた」
歩美はまた顔を俯かせてしまう。
「ある日の放課後、先生に頼まれていたプリントを渡し終わって、教室に戻っているときだった。教室に近付くにつれて、私のクラスから話し声が聞こえてきた。だから“もう下校時間だよ”と注意しようとおもって、扉に手をかけた…そのときだった」
「『小野さんってウザくなーい?学級委員だからって威張りすぎだよねー』って声が聞こえて、そこから動けなかった。それからも私の悪口は続いて。そこで初めてわかった、私は嫌われてたんだって……。それに私は1度も“歩美”って呼ばれたことがなかった。みんな“小野さん”って名字で呼んでた。ホントは私に友達なんていなかって思い知らされた」
歩美はカタカタと震えだす。
自分の腕で自分を包み込み、必死に震えを止めようとする。
「だから、学級委員なんか2度とやるもんか…って思った。だけどそれと同時に、学級委員じゃなかったら私の存在価値は?って疑問が生まれた。学級委員じゃなかったら話しかけることも、ままならないのにって…」
…歩美ちゃん。
そんなに苦しんでたなんて……。
そこに私が追い討ちをかけちゃったんだ…。
咲月は泣きそうになるのを我慢する。
私が泣くなんておかしいよね…歩美ちゃんの方が苦しんだんだもん…。
私が泣いちゃダメ!
すると歩美はバッと勢いよく顔を上げた。