恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


『最初の何回かだけだから、少し我慢して』


次回を予想させる紫貴の言葉に頬が熱くなる。


だけど、目の前には紫貴の顔、少し下に視線を移せば……。

そこには肌を露出した紫貴の身体があって。


視線の位置が定まらない。


普段なら紫貴の顔なんか普通に見られるのに、今までしていた事が事だけに、恥ずかしくて堪らない。


『新鮮だな、恥ずかしがってるくるみ』

『……失礼な言い方しないで』

『くるみはいつも度胸があって、何を前にしても真っ直ぐに見つめるから。

人がよすぎてとばっちりを食わないか、いつも見ててひやひやしてるけど』

『だって、頼まれると断われないんだもん』


そういいわけしてから、紫貴を見つめた。


薄い紫色のキレイな瞳が、あたしを捕らえて優しく細まる。




< 255 / 343 >

この作品をシェア

pagetop