恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


『くるみちゃん。俺と賭けをしない?』


じっと見ている先で、灰斗さんが言う。


『賭け?』

『そう。くるみちゃんが勝ったら、俺はもう紫貴の前に現れない。

状況の変化とかで万が一現われても、紫貴の両親の話にはもちろん触れないし、紫貴をつらい目に遭わせないように努力する』

『それ……、賭けに乗らなかったら、灰斗さんは紫貴をつらい目に遭わせるような事をするって事ですか?』

『さぁね』


きちんとした返事はなしに、ただ微笑まれる。


だけど、会話の流れからいけば……、

するって言われているように感じた。


紫貴に両親を失わせときながら、まだ紫貴に何かするつもりなの……?

紫貴が苦しむような事を……?




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