恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


そう言うと、灰斗さんは眉を潜めてあたしを見た。

負けじと見つめ返すと、困り顔で笑われる。


その顔が、紫貴と重なる。


やっぱり兄弟なんだ。


「まいった。……やっぱりくるみちゃんもあの女に似てる。

強さが、紫貴の母親に似てるよ」


そう笑った灰斗さんは、窓から見える空を見つめながらゆっくりと話し出した。


10年前、紫貴のお母さんと灰斗さんの間にあった出来事を。




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