恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


なんでだろう。

藍川の瞳に捕らえられると、動けなくなる。


だけどそれは、

藍川の紫色の瞳が色っぽく光るからでも、藍川の全部から漂ってるオーラのせいでもない。


藍川のこの瞳を、ずっと前から知っているような不思議な気分にさせられるから。


記憶を辿ったって、あたしの思い出の中に藍川は存在しないのに……。


存在しない事が不思議なくらいに、藍川の瞳を……藍川を。

知っているような気がして仕方ない。



頷いたあたしに、藍川は優しく微笑んだ。




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