恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―


お昼休み教室に戻っても藍川の姿はなくて、後になって早退したって聞かされた。


藍川がヴァンパイアだって事よりも……。

藍川が、あの後一人で何を考えていたのか。

なんで、あんなに切ない目であたしを見るのか。


その方が気になって仕方ない。

どう考えたって、優先するべきなのは、ヴァンパイア発言の方に決まってるのに。



あたしは……、

藍川が好きなのかな。



ずっと漠然と考えていた事が鮮明になっていく。

曖昧にしてきた藍川に対しての気持ちが、こんな事ではっきりするなんて、本当におかしいと思うんだけど……。


ヴァンパイア発言よりも、藍川の気持ちの方が大切だって考える自分。

それが間違いだなんて思えなかった。












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