誘惑プリンセス【BL】
「……まだ、好きだったら、何だって言うんだよ」


 低く押し出すような声で、俯いたままのヒメが言う。


「俺が、恭介のこと好きだって言ったら、良いのかよ?」

「良いとかダメとかじゃない!」

「そういうことだろ。俺は、もう朧の事なんてどうだっていいんだ」

「それが吹っ切れてない証拠だろ……っ!」


 ヒメの手が俺から離れたかと思うと、胸倉を掴まれた。

 怒っているとも取りにくい複雑な表情で睨まれて、俺は逆にヒメの手を取る。


「お前は単に淋しいだけなんだろ!? だったら別に、俺じゃなくたって……っ」

「恭介は、俺が誰とセックスしても良いんだな」


 俺の言葉に被せるようにして、ヒメは俺のシャツを強く引く。


「誰と……って、そりゃ、ヒメが好きなヤツなら、誰だって……」

「──もういい!」


 俺を突き飛ばすようにして離れたヒメは、そのままベッドに潜り込んでしまった。
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