誘惑プリンセス【BL】
「今の、友達?」

「ただの遊び仲間だよ」


 遊び仲間と友達と、何か違うんだろうか、とは思いつつも口には出さず。

 俺は右手に化粧品の入った紙袋を持って、またもやヒメに引かれて歩き出した。


 ヒメの行きたいところに行って、ヒメの荷物を持って……。

 コレじゃ本当にデートだ。


 こんな平日の昼間なら大丈夫だとは思うが、今更ながら、知り合いにでも会ったらどうしよう、と思い始めてしまった。


 ヒメのことをなんて言い訳すればいい?

 嘘でも『彼女です』とは言えないし、出来れば言いたくない。

 でも、こんなに寄り添って歩きながら彼女じゃないなんて誰が信じるってんだ。

 それ以前に、ヒメは俺と付き合ってる、って言われるのを嫌がる節がある。

 嫌なら誤解されるようなことしなきゃいいのに。
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