俺様☆姫様★王子様 2 【完】
………しまった。
そうじゃないだろ、姫華。
あたしは今言うべき事があるでしょうが。
だけど今この場で言ってしまって良いんだろうか。
彼の名前を口にしてしまって良いんだろうか。
いや、多分既に気付かれてると思うけど…;
これだけ世間様にお馴染みのスタイルで来られたら、ねぇ。
あた、あたしにどうしろっていうのよ。
あたしまで注目の的になってんでしょうが!えぇっ?
すぅ――…はぁ―――…
深く深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
だ、大丈夫。この痛い視線に負けない……多分。
息を整えて、真っ直ぐ漆黒の瞳を見据える。
悪魔――じゃないや、彼の。
テーブルに投げ出されてる腕からは、シルバーのごつめのブレスが顔を覗かせている。
撮影で使ったのかな。
普段つけているブレスよりか、幾らかシンプルなそれ。
いつも大抵イカツイ感じのものだから。
って!いい加減にしなくちゅダメだ!このままだと騒ぎが拡大しちゃうじゃない。
ブンブンと顔を振ったあたしは、立ち上がってその一見華奢な腕を掴む。
「此処はダメ!早く出るよっ」