俺様☆姫様★王子様 2 【完】
ん?
コーヒーまみれのテーブルに黒っぽい影が出来た。
ぶらんと見える白くて湿った布。
ふきんだっ!
ナイス!!
ウェイターさん気付いてくれたんだねっ。
「どうぞ」
「すいませんっ、溢しちゃって!ありがとうございます」
そう思い込んでいたあたしは、片手でコーヒーを塞き止めて、もう片方だけウェイターさんに伸ばす形で、視線を外さないままふきんを受け取った。
一拭きすればそれは茶色く染まっていく。
どんどん吸い取って。
誰かに誘導されてるみたいに。
今あたしがいる世界のように思えた。
「出たな。………もういい、ヒメ」
その言葉にハッとして顔をあげた。
「お久しぶりですね、天宮社長。綺麗好きなんですね、ヒメさんは」