俺様☆姫様★王子様 2 【完】
「名波さん、何を言われるか知ってるなら教えてくださいよ」
少しは心の準備が必要な訳でして。
こんなのじゃあたし恐くて事務所に行けません。
だけどそんなあたしの気も知らず名波さんは、かっかっかっって大口を開けて笑った。
「大丈夫、大丈夫!悪い話じゃないから!」
「や……でも……」
チーン――…
言いかけた所で、エレベーターは最上階で止まった。
「さ、姫華ちゃん降りて?」
ドアを手で押さえて、あたしに促す名波さん。
「………;」
「ほら」
躊躇しているあたしに向かって、先に降りた蓮が手を差し出してくれた。
その姿にきゅんとなりながら、手を取ってついていく。
「悪いようにはしないから♪」
後ろから聞こえた名波さんの言葉は、あたしにはドラマに出てくる悪者の台詞にしか聞こえなかった。