携帯小説的恋
「いいの、いいの。

佐々木さんのせいじゃ全然ないですから。

それに、あんな楽しそうな月人君見たら、もう完敗だなって。

今は、もっと好きになる前で良かったって思ってます」

「え?」

「月人君、佐々木さんのことが大好きなんですよね。

あんなに照れちゃって……

あれ、でも、なんで佐々木さんが一人でここにいるんですか?」

やっと、あたしが一人でいることに気付いたらしい星野さんが、首を傾げてあたし見つめた。

「もしかして、喧嘩? 月人君、置いてきちゃったの?」

「だって……」

あたしは、さっきの興奮がよみがえり、ついつい、ゴーカートとコーヒーカップの出来事を星野さんに喋っていた。

「やだぁ~

佐々木さんて、面白ぃ~

『大嫌いヤンキー』が面白い訳がわかった気がします。

でも、仲直りしなくちゃね。

だって、月人君は<運命の人>なんだから。

あ、噂すれば……」

星野さんが、あたしの肩越しに遠くを指差した。
< 156 / 205 >

この作品をシェア

pagetop